2018年6月23日土曜日(再放送はの6月29日(金))チョイスのテーマは、突然胸が締め付けられるような激しい痛み、「心筋梗塞」です。
今回は、心筋梗塞から命を守るために、早期発見するためのチョイスや、治療のチョイス、更に再発を予防するチョイスなどをまとめていきます。
番組について
様々な病気になったときに、どのような対処、治療法を選んでいくかは人生の一大事です。どんな選択「チョイス」がベストなのかを考えていく番組です。
司会の八嶋智人さんと大和田美帆さんが視聴者の皆さんに代わって質問や疑問を直接ぶつけて、実際はどうすればいいのかを明らかにしていきます。
出演者
司会
八嶋智人(俳優)
MC3年目を迎え、病気は色々あるもので、それに対して色々な治療のチョイスが
あるんだなということを、より深く思うようになりました。
これからもみなさんに沢山のチョイスをお届けできるように頑張っていきたいと思います。引用元:http://www4.nhk.or.jp
大和田美帆(女優)
チョイスが始まってありがたいことに三年目に突入です。
この二年で私自身、自分の身体に目を向ける機会が増えました。
髪型や肌ほど気にしていなかった身体の中身。予想以上に頑張ってくれています。
自分のため、家族のために病気を早期発見できるよう、そして良いチョイスができるよう、
一緒に知識を増やしましょう!知っていて損はなし!
皆様の代表として、八嶋さんと共にこれからもお医者様にバンバン質問していきたいと思います。引用元:http://www4.nhk.or.jp
チョイスコンシェルジュ
吉田真人(よしだ・まこと)アナウンサー
専門家
榊原記念病院 副院長 心臓血管外科医 高梨秀一郎先生
6/23日(土)放送内容
心臓に酸素や栄養を送る血管が詰まってふさがってしまう心筋梗塞。動脈硬化によって血管にコレステロールなどがたまることが原因。突然死につながる場合もあるが、意外にも症状が全くないことや、背中や歯などが痛む場合も。治療は、薬のほか、血管にカテーテルを入れて詰まった血管を広げる方法や、詰まった場所の先に血液を送る通り道を作るバイパス手術がある。心筋梗塞の早期発見の知恵や治療のチョイスを詳しく紹介する。
引用元:http://www4.nhk.or.jp
チョイス@病気になったとき「心筋梗塞から命を守る」が、本日放送予定です。
6月29日(金) 12:00~12:45 (45分) NHKEテレ
[番組情報:https://t.co/Rv9wUk2VI1]— 上田博司 (UEDA, Hiroshi) (@senior_access) 2018年6月28日
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心筋梗塞とは
心臓に栄養や酸素を送っている冠動脈の血管が詰まることで、血液を全身に送り出すことができなくなり、突然死につながることもあります。心筋梗塞が原因での死亡者は年間で約4万人です。発症だけでも15万人と言われています。
心筋梗塞の治療は時間との戦いです。いかに早く始められるかに命がかかっています。
そのため前兆を早く知ることが重要なのです。
しかし、自覚症状がなかったり、痛みが歯に来たり、気分が悪くなってきたことぐらいしか覚えていなかったりと、症状の現れ方はじつにまちまちなのです。
では、どうすれば良いのでしょうか。
高梨先生による心筋梗塞の詳しい説明
虚血性心疾患
血管が詰まって、心臓に血液が行かなくなる疾患のこと。
- 狭心症 冠動脈の内側にプラーク(コレステロールなどが溜まったもの)ができ、血管が狭くなってしまう症状
- 心筋梗塞 狭くなった血管が、さらにプラークと血栓が溜まって、ふさがってしまう状態。または、プラークが弾けだして血管に詰まることもある。
心筋梗塞の症状
- ギュッと締め付けられるような痛みが胸の真ん中に現れる。 実は、心臓は左胸ではなく、ほぼ真ん中にあるため。痛みの程度は人による。激痛のときもあれば、そうでないときも。
- 痛みが20~30分くらい続く。(狭心症であれば痛みは5~10分程度)
- 冷や汗や吐き気がすることもある
痛みがおさまってしまう、というのが見逃してしまう理由。
痛みが20~30分続いたり、冷や汗や吐き気などの副症状が現れたら「これはあぶない」と考えて、即救急車を呼んだほうが良い。
むしろ、痛みが10分でおさまらなければ、心筋梗塞の疑いがあるので、すぐに病院へいくように心がけたい。
自覚症状がない!?
糖尿病や高齢であれば、症状がない場合もありうる。
なりやすい人 生活習慣病を患っている人
- 高血圧
- 高脂血症
- 糖尿病
心筋梗塞の原因は動脈硬化でもあるので,年齢が上がるほどかかりやすいと言える。
症状は、健康診断や心臓ドッグなどで前兆を見つけるのが良いが、最終的にはカテーテル検査で診断する他はない。前兆状態で見つかれば、とてもラッキー。
心筋梗塞が起きやすい時間帯
2006年の国立循環器研究センター病院調べによると、一日のうちで心筋梗塞になりやすい時間帯が2回あることが分かっています。
1回目は朝6時~8時ごろ、2回目は夜8時~10時ごろです。
早朝は自律神経が関係していて、寝ているときは副交感神経が優位に働いていますが、起きると交感神経が優位になり、血圧が上昇して発症しやすくなります。
夜間は、一日の疲れが最も出やすい時間帯であり、また喫煙や飲酒も関係すると言われていますので、発症の条件が揃いやすいようです。
早朝も夜間も、病院が開いていないことも多いので、心筋梗塞に対しての早めの対応をするためにも、前兆を知っておくことが大切です。
ケース1健康診断で発見
健康診断で
- 心臓が若干肥大
- 不整脈の疑い
の所見があり、専門の機関で検査をして、心筋梗塞の疑いなる箇所を発見した。
カテーテル検査という、細い管を腕などの血管から入れて、造影剤を使って、血管内の状況を詳しくみる検査を行い、血管のつまり=梗塞が見つかった。
冠動脈にコレステロールなどが溜まると、血管が狭くなる。
その血管の一部が破れてできる血栓=血の固まりで狭くなった血管が完全にふさがってしまう、というのが心筋梗塞なのだ。
心筋梗塞になると、詰まった先の血管には血液が流れなくなるため、その先の心臓の細胞が死んでしまう。もし太い血管が詰まってしまったら、そのために心臓が止まって、突然死に至る。というわけで、いかに早く発見できるかという時間との戦いなのだ。
しかし、自覚症状がなかったため、自分がまさか心筋梗塞だとは思わなかったという。
治療法のチョイス
カテーテル治療
対象
- 高齢者
- 梗塞が1~2箇所
- 冠動脈の根本や太い幹ではない
直径1.5mm~2mmほどのカテーテルを、手の動脈から入れて、狭くなっている部分をカテーテルから出るバルーン(風船)をふくらませて広げて、そこに金属の網でできたステントと呼ばれる筒を置き、血流を改善する治療のこと。
特徴
- 体への負担が少ない
- 治療時間は約30分
- 再発の可能性あり
バイパス手術
対象
- 梗塞が3箇所以上
- 冠動脈の根本や太い幹
- 血管が細すぎる
胸の左右に一本ずつある内胸動脈、腕の動脈、脚の静脈などを使って、詰まっている血管の先に血液を送るための迂回路を作る治療のこと。新しい血管を付け足して、一気に血流を改善します。
特徴
- 体への負担が大きい
- 手術時間は5~6時間
- 治療が一度で済む 再発はまれ
- 保険適用も含めて400万円前後の費用がかかる。自己負担額は10万円程度。
どちらを取るか
どちらを取るのかを決めることは、難しい判断になるときもある。
循環器内科医と心臓外科医、それから生活習慣病を含めてその患者のよく知っているかかりつけ医がチームで連携をして治療にあたったり、判断をしていく必要がある。
また、手術で治療が終わりというわけではなく、再発を予防するために、手術後も薬による治療を続けるのが普通。
手術以外の治療法
冠動脈の細い血管が1~2箇所詰まっている程度なら、薬だけで治ることもある。
また、手術を選択しても、再発予防のために術後は毎日薬を飲み続けることになる。
心筋梗塞治療の薬
- 血栓を防ぐ:アスピリンなど ※血液を固まりにくくする
- 動脈硬化を改善する:スタチン ※脂質(コレステロール)を下げる
- 症状を予防する:β遮断薬 ※心臓の脈拍数を落とす 心臓の収縮力を落とす 血液の流れる量を減らして心臓の負担を減らす
これらの薬を、1種類ずつではなく組み合わせて使うことで治療していく。
薬は自分で判断して飲むのをやめることだけは絶対にしてはいけない。
薬の副作用について
- アスピリン 胃の出血など
- スタチン 肝機能障害など
- β遮断薬 心不全など
これらの副作用の症状を確認しながら、薬の量を調節していく。
発作が起きたときの薬はニトログリセリン
ニトログリセリン 症状を鎮めるはたらき ※舌の裏側に含んで溶かす錠剤タイプと、スプレータイプがある
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ケース2 意外な症状が出る心筋梗塞とは?
関連痛
一見心臓に関係のない箇所(歯、あご、肩、腕、背中など上半身)に、運動などで心臓にある程度の負荷がかかった、痛みが出ることがある。これを関連痛という。
これは、心臓の痛みと上半身の部位の痛みは、痛みを司る神経が近いところを通っているので、脳が間違えてしまうことがあるため、と言われている。
関連痛が出る場所は、その人固有の場所で、いつも同じ場所に痛みが出る。
関連痛の知識があるだけでも、病院へ行こうと思うかもしれないので、しっかり頭に入れておきたい。
切迫心筋梗塞とは?
心筋梗塞の一歩手前で、血管の詰まりがギリギリでいつ塞がって心筋梗塞になってもおかしくない状態。
心筋梗塞の再発予防のチョイスとは?
心臓リハビリ 体力の回復と再発予防
入院中の手術の翌日から始める。
- 6ヶ月が目安
- 再発予防のためには生涯続ける
- 保険の適用期間は150日間
- 3割負担の場合、1回2000円程度
心臓リハビリの内容
- セルフモニタリング 毎日ほぼ同じ時間に血圧・心拍数・体重の計測をする。 毎日の体の変動を感じやすくする。
- 運動療法 有酸素運動 1日30分以上毎日続けることが大切。 無理をせずに徐々に負荷をかけていくほうがよい。理学療法士がその人に合った目標数値を設定する。
- 日常生活の指導 食事療法・薬の飲み方・禁煙 食事は、生活習慣病などによって患者ごとに内容が違ってくる。管理栄養士から個別にアドバイスを受ける。薬は、担当医や薬剤師と相談して適切な飲み方を考える。禁煙の重要性も指導される。
- 心理面のサポート 仕事・生活面の不安解消 発症した後、仕事や生活面に不安がある際には、それをひとつずつ解消していくことがとても大切。
運度療法について
心電図を付けて心臓の状態をチェックしながら行う。
- 1~3日目 体操 軽めのウォーキング 術後の体力低下を補う。
- 4~7日目 トレーニングマシンを使って有酸素運動 適度な運動負荷をかけることで下半身が強化。運動能力が高まり楽に動けるようになる。これによって、心拍数が減り心臓の負担が減少して、心筋梗塞が再発しにくくなる。運動の強さは最大心拍数の40~60%が目標。
運動療法の他にも、食事療法や薬の飲み方、職場復帰の注意点など、担当医や看護士、臨床心理士、理学療法士などがグループで指導にあたる。
退院後も通院してしばらく続けていく。
心臓リハビリをきちんと行えば、再発は1割以下に減らせると考えられている。
心臓リハビリは全ての病院で行われているわけではない。日本心臓リハビリテーション学会ホームページで、心臓リハビリを行っている医療機関を確認のこと。
ケース3 心室細動が突然発症
心室細動とは 突然死につながる不整脈
不整脈の一種。
心臓の下半分の部位である心室が1分間に300回以上けいれんして、血液を送り出すことができなくなり、心停止につながるとても危険な状態。
発症したら10秒くらいで意識がなくなる。
未処置が5分続くと、体への深刻な後遺症が残る。
病院内で発症すれば助かる可能性も高いが、自宅や路上などで発症すれば助かる見込みはほぼない。AEDや心臓マッサージの知識をもって、救急車が来るまでの時間を少しでも稼ぐしかない。
心筋梗塞によって引き起こされる。
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まとめ
心筋梗塞のベストチョイスへの道は
- 今まで感じたことのないような胸の痛みや圧迫感があったら、すぐに救急車で医療機関へ行く。
- 自分では動かない。かならず救急車を呼ぶ。
- 年一回は検診を受けて早期発見を心がける。早い段階で見つかれば、処置によって助かる見込みはかなり高い。
- 動脈硬化が心筋梗塞の原因なので、生活習慣の改善が最も大切。
痛いと思ったら、我慢しないですぐに病院へ行きましょう。
仕事よりも自分の体の方が大事ですよね。